アフリカまとめ

アフリカニュース、アフリカ経済、アフリカ政治、アフリカ文化、海外ビジネス、開発経済、国際政治などについて記事を書いています。不完全な記事も多く個人的スクラップのようなものが多いですが何かの役に立てば幸いです。

記事・論文紹介

中国の対アフリカ投資の実際

中国によるアフリカ投資(海外直接投資〔FDI〕)は世界から注目を集めていますが、元世銀研究員の中国人の申氏 [Shen (2015)] はその実際の動態について調査を行いました。


I. 中国本国の統計に基づく知見                                
【投資案件数の推移】
中国民間企業のアフリカへの投資は急拡大しており、投資案件数は2005年の52件から2013年には1217件まで増えた。中国企業の対アフリカ投資案件の53%は民間によるものである。
【産業分野別傾向】
民間企業は製造業・サービス業に投資する傾向にあり、国有企業は建設業・鉱業に多く投資してきた。
【中国国内の地域傾向】
地域別でみると、製造業をリードする本国沿岸地域の企業による対アフリカ投資が最も大きい割合を占める。
【アフリカ大陸内での地域傾向】
中国企業の対アフリカ投資はサブサハラアフリカに広く行き渡っているが、ナイジェリア・南アフリカザンビア・エチオピア・ガーナの上位5か国で全体の案件数の40%を占める。
【中国の統計データの評価】
中国の専門家は統計当局の役人も含め、中国の投資統計データは民間による中小規模の投資の数を把握できていないと考えている。

II. 投資受け入れ国の統計に基づく知見                      
【投資案件数の推移】
被投資国(ナイジェリア・ザンビア・エチオピア・ガーナ・リベリア・ルワンダ)の統計データに基づいた場合、中国企業による投資案件数は中国側のデータに比べて数倍の案件数がある。
【産業分野別傾向】
中国企業による投資案件は主に労働集約的な製造業に集中(44%)しており、その後に小売・流通等のサービス業や鉱業が続いている。
【各国内における中国資本の位置】
エチオピアやザンビアなど中国からの投資が対内海外投資全体で大きな割合を占めるものもあれば、リベリアやルワンダやガーナでは低い水準に留まっている場合もある。
【進出中国企業の規模と競合相手】
アフリカに進出する中国企業は小規模な中国資本の企業であることが多く、主に同様の南アフリカやインドといった新興国から進出した小規模な企業と競争する。
【中国資本の国内開発への寄与】
2012年のアンケート調査によれば、中国からの投資はその雇用創出によって総じて肯定的にとらえられている。しかし、国内の産業化の観点からは否定的な意見も多数あった。


III. 企業への聞き取り調査に基づく知見                         
【投資動機】
製造業企業にとっての投資動機は①アフリカの国内市場とその先に潜在的に広がる輸出市場へのアクセス、②特に低賃金労働力による生産コストの低さ③原材料へのアクセスである。
【投資リスク】
インフラ整備が不十分であったり治安・政情の不安定な国では操業コストが高い。
【産業・投資政策への反応】
輸入代替工業化政策はある程度は成功を収めたといえる。輸入規制に対応して本国からアフリカに工場を移した企業もあった。
また、被投資国の投資環境の違いは中国企業の投資国選択に影響を与えた。
【本国の政策への反応】
本国と被投資国の両政府による投資促進政策はある程度役に立っていたが、現地の既存ビジネスを通した口コミ的な生の情報が最も重要な要素であった。
【その他】
・民間企業群によって自発的に形成された工業団地がプラットホームの役割を果たし、企業のコスト削減に役立っている。
・多くの民間企業はアフリカでの事業を「2回目の事業立ち上げ(二次創作)」として捉え、20年前に中国国内で行ったのと同じ、断固として勤勉に倹約する手法で事業を行っている。
・アフリカの中国企業は概して利益という点でこれまでの事業経過に満足している。

IV. 結論                                                                       
【新植民地論への反応】
2012年8月当時の米国国務長官だったヒラリー・クリントン氏は中国によるアフリカへの投資を「新植民地主義」であるとして批判したが、これは正しくない。
被投資国は雇用創出等の恩恵を得ており当局関係者もこれを好意的にとらえている。ただし技術移転や現地企業との協働等の長期的産業育成効果を期待できる要素は依然として弱いことも認められ、投資受け入れ国による政策努力により双方良し(Win-Win)の関係が築かれることが望まれる。
【中国企業進出の理論付けと政策提案】
中国企業の進出は、赤松氏が提唱した雁行形態論に従って中国企業が次の発展段階に移行していることを示すものであり、アフリカ諸国は低賃金労働力等の後発国の優位を十分に生かし、中国自身が20年前に享受したような発展を達成することができる。同時に中国企業はWells氏の言う第三世界多国籍企業の優位をもって有利に進出することができている。しかし、中国企業は依然としてアフリカ諸国に対してインフラの不備や不安定な政治等の不安を抱いており受け入れ国政府はこれらを払しょくする必要がある。また、口コミによる投資誘引効果が大きいことも今回の研究でわかったので、受け入れ国政府は既存の進出企業に対する行き届いた対応をすることで投資を引き付けることが出来るだろう。


<参考>
Shen, Xiaofang. “Private Chinese Investment in Africa: Myths and Realities.” Development Policy Review 33, no. 1 (2015): 83–106.

スワヒリ文学における女性

スワヒリの古い民話の中の1つの要約です。
この作品から見て取れるスワヒリ文化とはどのようなものでしょうか?

「百匹の牛で買われた女」

ある裕福な家庭の若い男が両親の遺産として100匹の牛を継ぎました。しかし、ある別の金持の家の美しい女性を妻として得るためにそのすべてを結納として支払ってしまいました。
当然男は食うものにも困り雇われ労働者としてあくせく働き始めるのですが、妻の女の父親が家に来ることになり夫婦は自分たちが貧しいことを隠そうとしました。男は雇い主から肉と牛乳を借り、女は少しだけ娼婦として働くことになりました。女は四分の一頭分の牛肉で買われることになりましたが、間の悪いことに相手の男が来たときには夫と父親が食卓を囲んでおり、相手の男がとりあえず一緒に食卓を囲むことになりました。
女が肉の乗った皿を食卓に運び、夫が受取ろうと手を上げると女は
「さっさと食べなさいよ!この愚か者たち!」
と言い出したので、父は
「なんで私が愚かなんだい?」
と聞きました。
「お父さん、あなたは大切なものをどうでもいいものと交換したわ。」
「わたしが何をどうでもいいものと交換したというんだい?」
「私よ、お父さん。お父さんは私のことを安く売り過ぎた。」
「なぜ?」
「お父さんは私以外に娘も息子もいないでしょ?なのに私を100匹の牛で売った。だってお父さん、お父さんはもう6000匹は持っているでしょう?なのに100匹の牛が私より価値のあるものだと考えた。だから愚かだっていてるのよ。」
女がそういうので父も
「そうだったな、私が愚かだったよ。わが娘よ。」
と認めました。
すると夫もまた
「じゃあ教えてくれよ、俺のどのあたりが愚かだって言うんだ?」
と聞いてきます。
「あなたは父よりももっと愚かよ。」
「なんで?」
「あなたは100匹も牛を継いだのにそのすべてと交換に私と結婚した。このあたりの町には10匹か20匹の結納で十分な女性もたくさんいたのに、あなたは見もしなかった。自分の持つすべての牛と引き換えに私と結婚して、後には何も残らなかったじゃない。私たち自身が食べるものさえなくて雇われの身になって、自分が食べるものを得るために他の人の牛の乳を搾ってる。牛を半分も残しておけば、食べるものぐらいはあったじゃない。だから、あなたは愚かだって言ってるのよ、このバカ。」
今度は女を買いに来た男が尋ねました。
「よしじゃあおれはどこが愚かなんだ?教えてくれよ。」
「あなたは他の2人よりもっと愚かよ。」
「なんでさ?」
「あなたはたった4分の1の牛で買おうとしていた。100匹で買われていたものをね!愚かじゃないとでも思うのかしら?」
女を買おうとしていた男は飛び上がって急いで逃げ帰っていきました。
(終わり)

解説 (Robert, 1992)                             

この物語を読むと、女性を商品として取引することの愚かさのようなものを現代人は読み取ってしまいそうだが、実際にはそのようなものは埋め込まれていない。イスラム文化の影響を強く受けたスワヒリ文化にとって女性が商品のように取引されることは当たり前のことで、この民話が批判しているのは女性を交換することそれ自体ではなく、その交換の仕方の拙さについてである。
ヨーロッパ的な価値観(この場合フェミニズム)で他の文化の文学を理解しようとすると間違えた解釈を得てしまう。



<参考>
Phillipson, Robert. 1992. “Balzac in Zanzibar: The Swahili Novel as Disseminator of Bourgeois Individualis.” Research in African Literatures 23 (3): 85–98.

債務削減(2005年)の評価:HIPCイニシアティブ

DSC036072005年、G7諸国により重債務貧困国(HIPC)イニシアティブが合意され、重債務貧困国に対する100%の債務削減が決定されました。レオ[Leo (2009)]はその4年後にこの債務削減の効果を評価し、3つの問題点を指摘しています。


I. 債務削減後も変わらない債務総量                
HIPCイニシアティブによって重債務貧困国の債務が帳消しとなることに決まったが、HIPCイニシアティブ合意後すぐの2年間に世銀・IMF・アフリカ開発銀行は同じ国々に対して78億ドルの追加融資を行っており、この量は合意直前の2年間に融資された81億ドルとほぼ同じである。これはアフリカ援助倍増を目指すとした2005年サミットをはじめとする2000年代のアフリカ援助増加により援助の総量が拡大してきたことによるものであるが、結果として融資の流入量は重債務貧困国全体としてみれば変わらなかった。各国別で見た場合モザンビークは順調に持続可能な水準に債務をコントロールしているが、多くの重債務貧困国は近い将来に債務比率が悪化すると予測されてる(エチオピア・マラウィ・ニカラグア・シエラレオネ等)。

II. 甘すぎる経済見通し                         
 i) GDP成長
IMFや世銀による途上国の成長率予測は融資拡大を正当化する理由として使われてきたが、IMFのこれまでの予測と実際の数値を比較すると平均で年1.14%分多く見積もっていることがわかる。また、紛争国を除いた値においても平均0.84%分楽観的に見積もっていた。短期で見ればこの影響はそこまで大きくないが、国際機関による融資は数十年単位の返済期間で実行されるため短期の予測の乖離が大きな影響を及ぼすこととなる。
  ii) 輸出成長
重債務貧困国の輸出は価格が変動しやすい単一の一次産品に依存しているにもかかわらず、IMF・世銀は価格変動の影響に関し楽観的な予測を立ててきた。世銀自身の調査によれば、重債務貧困国の輸出成長率予測は1980年から2000年にかけて6倍、1990年から2000年にかけては2倍大きく見積もっており、改善は見られるものの未だに甘い予測となっている。

III. 重債務貧困国ガバナンスの脆弱性の継続             
世銀・IMFは「国別政策・制度評価(CPIA)」に基づいて各国のガバナンスを「強い・中程度・弱い」に分類し、「強い」場合はGDP対比200%、「中程度」の場合は150%、「弱い」場合は100%を債務持続性の基準と設定する。そしてその基準から10%超過した国を赤信号、±10%以内を国を黄信号、10%以下の国を青信号と分類し融資実行の際の基準として運用している。しかし、多くの国がCPIA「強い・中程度・弱い」の間を頻繁に移動しており、40~50年単位で貸し付ける大型の融資を持続的に管理することは難しい。重債務貧困国のCPIAの数値自体は改善してきているが、債務持続性の信号評価を十分に改善するには至っていない。さらに、約70%の被債務国のCPIAが「強い・中程度・弱い」の境界上に位置していることも研究により示されており、相当数の国が不適当な分類をされている可能性が高い。

IV. 政策提言                                
①より控えめな成長予測を人事評価などにより奨励
②将来予測でなく、現在の債務状況により融資を決定する
③債務持続性指標に余裕を持たせる(「強い」国でもGDP対比150%まで等)
④(楽観的な予測や、ガバナンスの脆弱性が改善しないならば)債務持続性指標の枠組みを放棄し、より単純で伸縮性のある基準を設ける。
 

<参考>
Leo, Benjamin. (2009) Will World Bank and IMF Lending Lead to HIVC IV? Debt Deja-VuAll Over Again. Washington D.C., Center for Global Development, working paper 193.

日本アフリカ関係②:貿易

日本の対アフリカ貿易に関して、岡田(2007)の整理を通して学んでみましょう。

I. 時代別の量的な特徴                           file3021258241702
  i) 1960年代以前
    a) 輸出
日本の輸出はまだ主に繊維製品を中心とする軽工業品が大きな割合を占め、総輸出額の17.5%はアフリカに対する輸出で占められた。
    b) 輸入
言及なし、少量。

  ii) 1970年代から90年代
    a) 輸出
日本の対アフリカ輸出入ともに拡大したが、対先進国での貿易がそれを上回る速さで拡大したため総貿易額中のシャアでは減少を続けた。総額ベースで見ても80年代以降は急減している。
    b) 輸入
輸出ほぼ同様

  iii) 2000年以降
    a) 輸出
日本の対サブサハラ輸出拡大の中心は南アフリカで、90年代後半から2006年までほぼ半分を占めている。対南アフリカ輸出の52%は日系メーカーの輸出としての自動車・同部品、33%がインフラ投資の増加としての機械・電気機械である(2006)。南アフリカ以外のサブサハラアフリカへの輸出の69%は輸送用機械であるがその内3分の1以上がリベリアの便宜船籍のための輸出で、輸出全体から船舶輸出を除けば自動車・同部品の占める割合は57%となる。
    b) 輸入
90年代後半に南アフリカの民主化により同国との貿易が拡大し、2000年以降にはそのほかのサブサハラ諸国との貿易も急拡大する。南アフリカからの輸入は主に貴石・金属等の資源が多いが、南アフリカに生産拠点を持つドイツ自動車メーカーが日本への輸出を始めたことで2000年以降は自動車等の輸入が急拡大し15%を占めるに至った(2006年)。一方で、南アフリカ以外のサブサハラ諸国からの輸入の増加に関しては主に原油輸入の増加が原因である。

II. 評価                                    
世界的な資源獲得競争の中で日本の製造業のため原材料を確保するためにはサブサハラの資源は不可欠で、日本企業のグローバル化実現にはサブサハラ市場は避けて通れれない。そのため、日本とサブサハラの貿易関係は資源輸入と日本のお家芸たる自動車輸出の二つに集中している。


<参考>
岡田茂樹(2007)「日本とサブサハラ・アフリカの貿易・投資」『成長するアフリカ—日本と中国の視点 (会議報告)
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Kidou/pdf/2007_03_03_5_okada_j.pdf

日本アフリカ関係①:日本の援助外交

graph2-1日本とアフリカの国際関係について、佐藤(2007)で外交的側面について議論されています。
佐藤(2007)の議論はShcreader(1999)への批判を中心に展開されていますが、Schreader(1999)の原文は手に入らなかったため佐藤(2007)のみを参考としています。


I. シュレーダー(Schreader)の理解                
日本のアフリカ援助は経済的利益追求を目的とした新重商主義的なものである。日本の援助は日本の産業にとって死活的な資源国か日本の輸出進出にとっての地域的拠点に限られる。

II. 佐藤の主張                             
・日本の援助はアフリカのほぼすべての国々に対して行われており、量的な比較でも資源国と非資源国で決定的な違いがあるわけではない。
例:2000年の援助額は資源国である南アフリカが1980万ドル、ザンビアが3190万ドル。資源の豊富でない国、マラウイが3850万ドル、ブルキナファソが2130万ドル、タンザニアが2億1710万ドル、ジンバブエが6240万ドル。

・日本のアフリカ外交は第三者や国際社会の出来事・要請に対する「反応」として形成されてきたのであり、アフリカ諸国との二者関係としてではなく、第三国や国際社会の状況の中に位置付けられなければならない。
例:・アジア‐日本‐アフリカ(日本のアフリカ援助初期の「日本のアジア援助による成功経験をアフリカへ」)
  ・中東‐日本‐アフリカ(オイルショックを受けた石油供給元の分散戦略)
  ・国際社会‐日本‐アフリカ(国連安保理常任理事国入りに向けた票の確保)
  ・欧米諸国‐日本‐アフリカ(欧米の援助疲れ・日本の貿易黒字への批判を受けたアフリカ重視)

・日本とアフリカの三者関係性は不正常なものではないが、今後は企業や市民社会を含めた複合的二者関係を深化させ、アフリカ諸国そのものに対する反応性を高めていかなければならない。


<参考>
佐藤誠(2007)「日本のアフリカ外交ー歴史にみるその特質」 武田進一編『成長するアフリカ―日本と中国の視点(会議報告)』
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Download/Kidou/pdf/2007_03_03_3_sato_j.pdf

*円グラフは外務省サイトより

【難問】アフリカ連合(AU)の予算配分。AUは不要?

wallet-moneyAUの予算配分についてアフリカ安全保障研究所のウェブサイト記事における議論です。

▼ポイント要約▼
①AUの予算は72%が援助によるもので、アフリカ諸国によるものは28%。
    独立性に疑問。


②2013年5月サミットにおいてナイジェリア大統領オバサンジョが問題提議・解決案の提示
【2013年サミット案】
・原油産出に基づく徴収→原油生産国の反対
・各国内のホテルでの宿泊1泊あたり2米ドルの徴収→観光国の反対
・国際線フライト到着1便あたり10ドルの徴収→観光国の反対

③2015年1月サミットにおいてさらに報告

【国連アフリカ経済委員会(UNECA)による報告】
・2013年案に加え1SMSあたり0.005ドルの徴収を選択肢として提示。
・また、予算拠出配分の原則として、「アフリカ大陸全体のGDPの4%以上を占める国でAU予算の60%を均等に負担、同様に1~4%の国々で25%を負担、1%未満の国で残り15%を負担」という原則を提案。
・その上で、上の原則に基づいて算出される予算をこれまで提案されてきたSMS等への課税で賄うか単に国家財政から拠出するかは各国の判断に任せればよいと提案。

④しかし、サミットはこの報告に「留意する」としただけで、具体的行動は示さなかった。

⑤背景には、AU自体の存在意義、役割とは何かという問題がある。


<原文>
http://www.issafrica.org/iss-today/the-au-starts-to-put-its-money-closer-to-where-its-mouth-is

【熱気】NEC、ナイジェリアで生体認証事業を狙う

who what 5  NECのアフリカでの生体認証事業についてNHK記事とNECのサイトから紹介します。
 南アフリカでの事業についてはNECが成功事例として紹介しているものを参考にしていますのでかなり褒めちぎっておりますがあしからず。

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NECがナイジェリアで役所の住民システムへの生体認証システムの納入を目指している。
1億7000万人で世界7位の人口規模・豊富な原油資源を背景に年7%成長を続け、昨年には南アフリカを抜きGDP規模でアフリカ最大となったナイジェリアで貿易見本市が開かれ、日本企業30社を含む900社が出展した。
その中でNECは顔認証システムを実演し「空港のセキュリティに使える」などの好評を得た。

NECは既にナイジェリア首都ラゴスで指紋認証技術を使った住民登録システムの導入試験を行っている。
国民の多くが60%がいまだに1日1.25ドル以下で暮らしているナイジェリアにおいては効率的な行政システムを確立することも大きな課題の一つだ。このシステムによって個人の失業状況の追跡等が可能になるし、重複登録による年金不正受給などの不正も防ぐことができる。
NECはナイジェリアのすべての州でこのシステムを納入すると息巻く。

それ以外にもNECは世界の各地で生体認証ビジネスを展開しており、南アフリカ内務省では既に2001年から段階的に指紋認証による住民登録システムが導 入されており、それまで書類によって行われていた作業が省略し効率的な行政を実現している。このシステムによるIDが自動車の購入からレンタルビデオまで 南アフリカでは様々な場面で必要とされる。システムの維持管理のための地元の技術者や役人の教育を通して地元経済の潜在力強化にも貢献しているし、多様な人種が暮らし人種間の利害関係が複雑な南アフリカにおいて、このような一元的なシステムで国民を登録することは国民統合のための象徴的な意味を持っている。

参考

NHK World News (2014) "Eyeing the Opportunity in Nigeria" 2014/12/15.
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/english/news/worldupdate/20141215.html

NECウェブサイト 指認証システムの導入事例:南アフリカ内務省
http://www.nec.com/en/case/sa/

【真相?】ルワンダ大虐殺の語られざる物語

file000701156430 ルワンダは1994年に起きた虐殺事件がよく知られています。「ホテル・ルワンダ」「ルワンダの涙」はルワンダの虐殺事件を描いた映画として有名です。この事件について語られてきた典型的なストーリーは「独立後、植民地時代に支配的地位を与えられていたツチ族と代わって権力を得たフツ族の対立が激化→一旦は和平協定が結ばれる→しかし何者かによりフツ族大統領が乗る飛行機が撃墜され大統領死亡→フツ族はこれをツチ族によるものとして報復として虐殺を実行→国際社会は見てみぬふり→100万人が亡くなったといわれるが、ツチ族系のルワンダ愛国戦線(RPF)が首都を奪還し事態は収拾→ルワンダ国際戦犯法廷が開かれる」といったものです。
  しかし、2014年にBBCが放映したドキュメンタリー番組「ルワンダの語られざる物語」では実際に起こったことは違うという見方を示しました。

▼BBCドキュメンタリーの認識▼
①フツ族大統領機撃墜はRPFによる犯行である。
   根拠:当時のフランスの調査
②RPFは虐殺を止めたわけではなく、首都へ進攻中に逆にフツ族を虐殺して回った。
   根拠:アメリカ人研究者アラン・スタム氏らによる臨地調査
        調査によれば虐殺された人々の内訳はツチ族20万人、フツ族80万人。
③RPFが政権を取ったあとも民主主義は定着しておらずカガミ大統領による独裁である。
   根拠:RPF元幹部らキーパーソンの証言
       証言によれば選挙の結果は操作されており、敵対する人物の暗殺も行っている。


 このドキュメンタリーに対してはルワンダ政府から非難され、ルワンダ政府は国内でのBBCでの放映を停止した。(http://www.47news.jp/CN/201410/CN2014102501001065.html



【達見】アフリカ市場の橋頭堡ルワンダ

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 日経ビジネスオンラインより、アフリカ進出拠点としてのルワンダの優位性に関し記事が出ていましたので紹介します(⌒-⌒)
 筆者の方は外資系コンサルティング出身で現在は主としてアフリカ進出に関するコンサルティングを行う会社の代表取締役をされている方で、駐日ルワンダ大使館・JETROの後援を受けルワンダビジネスセミナーを開催されています。
 ルワンダ一国のみならず、アフリカ全体に対する理解が進む必読の達見です。

▼ポイント要約▼
①試験マーケティングのための市場として最適
  ・東アフリカ共同体諸国、サブサハラアフリカ上部の国々と市場環境が相似している。
②地域統括拠点として最適
  ・帰還した離散民を通じた人脈構築が期待できる。
  ・4時間フライト圏内に1兆5千億ドル市場、陸上交通整備も進む。
  ・開放的なビジネス環境と安定した治安がある。

原文
堤夏七子 (2014) 「アフリカ市場の橋頭堡・ルワンダ~虐殺から20年 4時間フライト圏内に1兆5000億ドル市  ルワンダは東アフリカの縮図」 『日経ビジネスオンライン』 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141217/275291/

【朗報】資源の呪いの終わり?

20150110_MAC640経済雑誌The Economist の中東アフリカ欄にアフリカの経済成長に関する記事がありましたので簡単に内容を紹介させていただきます(^o^)
原題:African economic growth: The twilight of the resource curse?

右グラフは原文より。
 


▼ポイント要約▼


①アフリカ諸国は資源輸出国であり資源価格が経済を左右してきた。
②昨年は資源価格が急落した。
③一部の国では通貨安となったが経済への影響は過去に比べ小さいと見られている。
④その理由はアフリカの成長が資源産業だけでなく工業・サービス業へ波及してきていることであり、これは投資環境の改善に支えられている。


 

▼もう少し詳しく▼


①アフリカ大陸には多くの資源が眠っており、地球の全埋蔵量の3分の1の鉱物資源、10分の1の原油を占めると言われ、世界のダイヤモンド生産の3分の2を占める。アフリカの資源国は資源輸出をエンジンとして経済成長を目指してきていたため、自らの裁量でコントロールできない世界市場での資源価格の騰落に自国の経済が大きく影響されてきた。

例:19981999にかけての鉱物・原油価格の値崩れの際にはナイジェリア通貨ナイラが80%安となる。

 

②昨年(2014)には原油価格が半値まで値下がりし、銅や鉄鋼などの鉱物価格も急落したため、これまでと同様にアフリカ経済に悪影響があるかと思われた。

 

③今回は少なくとも10の国で通貨が10%以上安くなったが、致命的な影響を受けた国は見られなかった。ガーナは対ドルで26%安くなったが、ガーナは他の資源国と比べれば貿易の資源依存度は低く、資源安の影響というよりはGDP10%に及ぶ財政赤字の影響と考えるべきである。さらに世界銀行のWonks氏は情報通信・運輸・金融等の産業の貢献によって今年サハラ以南のアフリカ経済は5%成長すると推測している。

 

④資源安がアフリカ諸国の経済にこれまでほど大きな打撃を与えないと投資家や国際機関により考えられている理由は、経済の中で非資源産業の地位が向上してきて いることである。この非資源産業の成長は海外直接投資が下支えしているが、これは政府が自国の投資環境を整備していることにより呼び込まれている。世界銀 行の「ビジネス環境調査2013/2014」によればモーリシャスは投資環境ランキング28位で最適の部類に分類されているし、ルワンダはイタリアよりも投資環境がよいとされている。当然、絶対量としては資源国のほうが非資源国よりも投資を受けているのだが、対GDP比率で見積もると最近では非資源国のほうが多くの投資を受けている。また、資源大国でも非資源産業の重要性は増している。

例:アフリカ最大の経済大国であり原油が豊富なナイジェリアはこの35%成長を続けているが、最近は原油生産は停滞しており、この成長は携帯電話・建築・銀行などの産業によりもたらされている。今日ではGDP60%がサービス産業である。

 

原文

http://www.economist.com/news/middle-east-and-africa/21638141-africas-growth-being-powered-things-other-commodities-twilight