010<目的>                                 
南アフリカのアパルトヘイト体制における暴力の加害者の処遇の決定。





<特徴>                                    
加害者の法的責任を追及せず、真実を告白することによって罪を免除し「和解」するという手法を取った。TRCは(1)事実を調査し、(2)加害者によるすべての真実の告白をもって罪を免除し、(3)被害者への補償を提案することが主な任務であった。また、国家側による罪だけでなく、ANC等の解放勢力側の罪も扱った。ただし、解放勢力側の暴力は適切であると認められる範囲である程度許容され、解放活動の範囲を超えた暴力について扱われた。

<経緯>                                    
公聴会が開かれすべてインターネット上で公開された。被害を訴えた人々の9割はアフリカ人で、その半分以上は夫や息子を失った女性であった。公聴会は農村まで出張し、証言する被害者への精神的サポートも行われた。また、殺人等の個別事件だけでなく体制としてのアパルトヘイトを明らかにするため企業・メディア等各種社会組織に特別の調査が行われた。

<結果>                                    
7000人の免罪申請を審査し、4500人の免罪を否認、125人の免罪を認定(1998年時点)。実際に殺人・誘拐等に手を下した人間ではない大統領等の体制の責任者への追及が十分に及ばず、今後の通常の司法による訴追に委ねられた。

<評価>                                    
国際社会:おおむね好評価
遺族:「和解」という手法は白人の政治力・経済力に対する妥協に過ぎない。
旧政府・ANC:個別事件についてではなく、当時一定以上の地位にいた者をまとめて免罪するべき。


<参考>
永原陽子(1999)「南アフリカの真実和解委員会」『アフリカ・レポート』No.28 URL:http://d-arch.ide.go.jp/idedp/ZAF/ZAF199903_012.pdf
BBC. (1998). TRC: The facts. URL: http://news.bbc.co.uk/1/hi/special_report/1998/10/98/truth_and_reconciliation/142369.stm