アフリカまとめ

アフリカニュース、アフリカ経済、アフリカ政治、アフリカ文化、海外ビジネス、開発経済、国際政治などについて記事を書いています。不完全な記事も多く個人的スクラップのようなものが多いですが何かの役に立てば幸いです。

【真相?】ルワンダ大虐殺の語られざる物語

file000701156430 ルワンダは1994年に起きた虐殺事件がよく知られています。「ホテル・ルワンダ」「ルワンダの涙」はルワンダの虐殺事件を描いた映画として有名です。この事件について語られてきた典型的なストーリーは「独立後、植民地時代に支配的地位を与えられていたツチ族と代わって権力を得たフツ族の対立が激化→一旦は和平協定が結ばれる→しかし何者かによりフツ族大統領が乗る飛行機が撃墜され大統領死亡→フツ族はこれをツチ族によるものとして報復として虐殺を実行→国際社会は見てみぬふり→100万人が亡くなったといわれるが、ツチ族系のルワンダ愛国戦線(RPF)が首都を奪還し事態は収拾→ルワンダ国際戦犯法廷が開かれる」といったものです。
  しかし、2014年にBBCが放映したドキュメンタリー番組「ルワンダの語られざる物語」では実際に起こったことは違うという見方を示しました。

▼BBCドキュメンタリーの認識▼
①フツ族大統領機撃墜はRPFによる犯行である。
   根拠:当時のフランスの調査
②RPFは虐殺を止めたわけではなく、首都へ進攻中に逆にフツ族を虐殺して回った。
   根拠:アメリカ人研究者アラン・スタム氏らによる臨地調査
        調査によれば虐殺された人々の内訳はツチ族20万人、フツ族80万人。
③RPFが政権を取ったあとも民主主義は定着しておらずカガミ大統領による独裁である。
   根拠:RPF元幹部らキーパーソンの証言
       証言によれば選挙の結果は操作されており、敵対する人物の暗殺も行っている。


 このドキュメンタリーに対してはルワンダ政府から非難され、ルワンダ政府は国内でのBBCでの放映を停止した。(http://www.47news.jp/CN/201410/CN2014102501001065.html



【達見】アフリカ市場の橋頭堡ルワンダ

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 日経ビジネスオンラインより、アフリカ進出拠点としてのルワンダの優位性に関し記事が出ていましたので紹介します(⌒-⌒)
 筆者の方は外資系コンサルティング出身で現在は主としてアフリカ進出に関するコンサルティングを行う会社の代表取締役をされている方で、駐日ルワンダ大使館・JETROの後援を受けルワンダビジネスセミナーを開催されています。
 ルワンダ一国のみならず、アフリカ全体に対する理解が進む必読の達見です。

▼ポイント要約▼
①試験マーケティングのための市場として最適
  ・東アフリカ共同体諸国、サブサハラアフリカ上部の国々と市場環境が相似している。
②地域統括拠点として最適
  ・帰還した離散民を通じた人脈構築が期待できる。
  ・4時間フライト圏内に1兆5千億ドル市場、陸上交通整備も進む。
  ・開放的なビジネス環境と安定した治安がある。

原文
堤夏七子 (2014) 「アフリカ市場の橋頭堡・ルワンダ~虐殺から20年 4時間フライト圏内に1兆5000億ドル市  ルワンダは東アフリカの縮図」 『日経ビジネスオンライン』 http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20141217/275291/

【朗報】資源の呪いの終わり?

20150110_MAC640経済雑誌The Economist の中東アフリカ欄にアフリカの経済成長に関する記事がありましたので簡単に内容を紹介させていただきます(^o^)
原題:African economic growth: The twilight of the resource curse?

右グラフは原文より。
 


▼ポイント要約▼


①アフリカ諸国は資源輸出国であり資源価格が経済を左右してきた。
②昨年は資源価格が急落した。
③一部の国では通貨安となったが経済への影響は過去に比べ小さいと見られている。
④その理由はアフリカの成長が資源産業だけでなく工業・サービス業へ波及してきていることであり、これは投資環境の改善に支えられている。


 

▼もう少し詳しく▼


①アフリカ大陸には多くの資源が眠っており、地球の全埋蔵量の3分の1の鉱物資源、10分の1の原油を占めると言われ、世界のダイヤモンド生産の3分の2を占める。アフリカの資源国は資源輸出をエンジンとして経済成長を目指してきていたため、自らの裁量でコントロールできない世界市場での資源価格の騰落に自国の経済が大きく影響されてきた。

例:19981999にかけての鉱物・原油価格の値崩れの際にはナイジェリア通貨ナイラが80%安となる。

 

②昨年(2014)には原油価格が半値まで値下がりし、銅や鉄鋼などの鉱物価格も急落したため、これまでと同様にアフリカ経済に悪影響があるかと思われた。

 

③今回は少なくとも10の国で通貨が10%以上安くなったが、致命的な影響を受けた国は見られなかった。ガーナは対ドルで26%安くなったが、ガーナは他の資源国と比べれば貿易の資源依存度は低く、資源安の影響というよりはGDP10%に及ぶ財政赤字の影響と考えるべきである。さらに世界銀行のWonks氏は情報通信・運輸・金融等の産業の貢献によって今年サハラ以南のアフリカ経済は5%成長すると推測している。

 

④資源安がアフリカ諸国の経済にこれまでほど大きな打撃を与えないと投資家や国際機関により考えられている理由は、経済の中で非資源産業の地位が向上してきて いることである。この非資源産業の成長は海外直接投資が下支えしているが、これは政府が自国の投資環境を整備していることにより呼び込まれている。世界銀 行の「ビジネス環境調査2013/2014」によればモーリシャスは投資環境ランキング28位で最適の部類に分類されているし、ルワンダはイタリアよりも投資環境がよいとされている。当然、絶対量としては資源国のほうが非資源国よりも投資を受けているのだが、対GDP比率で見積もると最近では非資源国のほうが多くの投資を受けている。また、資源大国でも非資源産業の重要性は増している。

例:アフリカ最大の経済大国であり原油が豊富なナイジェリアはこの35%成長を続けているが、最近は原油生産は停滞しており、この成長は携帯電話・建築・銀行などの産業によりもたらされている。今日ではGDP60%がサービス産業である。

 

原文

http://www.economist.com/news/middle-east-and-africa/21638141-africas-growth-being-powered-things-other-commodities-twilight